易の領域~ある新宿占い師との出会い~

  さまざまな人が行き交う東京都・新宿。私がここに足を踏み入れたのは4年前。期待より不安が大きかった。重たい荷物を抱え、逃げるように都営新宿線の電車に乗り込んだ記憶ー。あれから数年が経つが、不安はまだ消えない。しかし、一つ違うことは仲間が増えたことだ。相談できる友人、力になってくれる人がいる。それだけのことだが、大きな変化だ。私の力になってくれる人の一人に、もう亡くなられた方だが、一人の老婆がいる。

 彼女に初めて会ったのは、この新宿の路上だ。彼女の顔は病気で崩れ、お世辞にもきれいとは言えない顔であったが、毎夜ここに来て、占いをしていた。